もう採れなくなった石たち
2009年 09月 26日
少し前にHPでアップした国産鉱物。
その中に大分県尾平鉱山の水晶のクラスターがあります。
この尾平鉱山は、現在はすっかり閉山されてしまったため、過去の
コレクションのものでしか手に入れることができないもの。
鉱山のロケーションは、大分県緒方町の祖母(そぼ)山にあり、鉛,銅,
スズの鉱山として1954年まで稼動していた。
約50年前に閉山された鉱山からは、その後も鉱物コレクターの人たち
の手により少量産出されていたものの、現在では坑道が水没し、とうとう
過去に採れたもののみが市場に出ているという状況なんです。
そして、最近石を好きになられた方は、あまり見かけなくなったのでご存知
ないかもしれないけれど、この鉱山から採れる「マリモ水晶」と呼ばれている
有名なクォーツがあります。(写真のマリモ水晶は私物)
写真のように、水晶の中に球状の緑泥石の一種が、まるで水中に浮くマリモ
のように見える事から付けられた名前。
日本の鉱物自体のことも好きだけど、どなたが付けたか知らないけれど、
ネーミングも優しくってよいですよね~。
最近ではブラジルからも、球状の緑泥石が入ったクォーツが産出されています
が、この尾平のマリモちゃんに比べると、なんだか情景を思い起こさせるような、
こちらのイマジネーションを喚起したり、「あ~、ほんとにマリモみたい~~~」
と感動させる何かに欠けているような・・・・。
まあ、好みの問題ですけどね。
私も、Tianを始めたばかりの頃にコレクターの人から譲ってもらい、一部を
店で売っていたこともあったけど、その後年々きれいな結晶が見つからなく
なり、最近ではマリモの入っていないシングル・ポイントが少しだけ出回る
位までになってしまった。
今回アップのクォーツ・クラスターは、マリモ水晶ではもちろんないのだけど、
そんな尾平鉱山からの過去の産出品になります。
鉱物の専門的な知識や視点では捉えることは私にはできないけど、サイズの
手頃感も良いと思うし、第一に水晶同士の連なり方が美しいと思う。
左端の比較的透明感のある2つの水晶の脇から、天へと昇り立つようにダブル
ポイントのクォーツが伸びているところなど、「いいな~」って眺めてしまう。
こういう石は希少性だけでなく、日本人が本来持っていた、けれども失われつつ
ある「日本人の優しさ」を思い出させてくれる。
実際この水晶、静かにだけど日本の山のこと、土のことなど自然のを語ってくれ
ていますよ。
いつもタンブルや磨いた石を買っていて、まだこのような原石を持ったことのない
方にも、ぜひ日本の石を体験してみていただきたいな、と思います。By オーナー
by bon--voyage
| 2009-09-26 22:18